意外すぎて記憶に強く残ってるんだよね。
だからたまに、本当に食べそうな感じがして焦っております。
湊さんに比べて、やっぱりスピードとかは遅いから、新しいのなんて作れないし‼︎
『いつもの、ちゃんと作れよ』
『了解しました』
私の返事に満足そうにトレイを受け取った斎藤君は、新しいオーダー表を置いて厨房から出て行く。
『昴と風花、相変わらず仲良いね?』
『なっ、何言ってるんですか湊さん。
一応、同じ学校ですから』
生クリームをかき混ぜながら、私を見てクスッと笑みを浮かべながらそう言った湊さんに、慌てて弁解する。
『そんなに焦らなくても良いよ。
バイト同士が仲良いのは、俺も嬉しいから』
作り終わった生クリームを、スポンジケーキに綺麗に塗っている湊さんを見て、私も笑みをこぼす。
『湊さん、ちゃんとオーナーって感じですね?』
『何? まさか風花、俺が嘘ついてると思ってたとか言わないよね』
私の言葉に、少し拗ねたように返した湊さんに笑ってみせると、湊さんもつられたのか笑みを浮かべた。
……なんか、こんな感じなの久しぶり。
湊さんとは、最近はちょっとしか話す機会なかったから、こんなほんわかした時間なんて過ごしてなかったし。
やっぱり、湊さんと話してる時が一番落ち着く。
あっ、でもみっちゃんといるのも落ち着く。
2人とも同じくらい落ち着くってことで良いや。



