…バイトを始めたり、斎藤君と出会ったり。
色々あったあの日から、2週間ほど過ぎた頃。
『風花、これお願いできるかな?』
湊さんに手渡されたオーダー表を見て、元気に返事をする。
少し大変だけど、練習の甲斐あってメニューも覚え切れたし…作れるようにもなったから、私は厨房に入る事になった。
因みに、前までこの時間のバイトメンバーは誰1人料理なんてできなかったから、湊さん1人でやってたらしい。
私的に、空君と斎藤君は料理できなさそうだな何て思ったけど、圭さんは出来るかな何て思っていた。
圭さんと空君は、初めはフルネームで読んでたんだけど…そう呼んでって言われたから何となくで呼びはじめた。
それは良いんだけど。
湊さんが、何となく不機嫌になってたから焦ったんだよね…。
今はそうでも無いけど。
『よし…っ、出来た!』
完成したケーキをトレイに載せて、オーダー表に書かれている名前を確認する。
『斎藤君。これ、出来たからお願い!』
ちょうど新しいオーダー表を持って来ていた斎藤君に、さっきのオーダー表と一緒にトレイに入ったケーキを手渡す。
『……美味そう』
『食べちゃダメだからね!?』
今にも食べそうな勢いでそう言った斎藤君に、苦笑いしながらツッコミを入れる。
ここ2週間でわかった事の1つに、斎藤君が極度の甘党だって事が入ってる。
この前ここで1人で来た時に食べたケーキが美味しかったからバイト始めた…だなんて言ってたから。



