まさかのまさかですけども。
斎藤君…照れてる?
顔をそらしている斎藤君を見ると、見事に真っ赤になっていた耳を見つけて、肩を震わせる。
『……笑うな』
そんな私に気づいた斎藤君が、こっちを睨みながらそう言ってきたけど、その代わり赤くなっている顔が見えて、抑えていた声が漏れる。
『お前……』
諦めたように短いため息をついて、私を無視し始めた斎藤君を見て、やっとの思いで笑いを抑える。
だって、ね?
斎藤君が耳真っ赤にしてまで照れてるなんて、笑うなって方が無理ッ!
『斎藤君、私の家ここだからもう大丈夫‼︎
今日は送ってくれてありがとう!』
いつの間にか家の前まで来ていたことに驚きながらも、未だに少しだけ拗ねている斎藤君にそう言って、顔の前で手を振る。
『……ああ。
お前、覚えとけよ』
そう言って私の手を払った斎藤君が、カバンを持ち直して口角をあげた。
斎藤様…なんですか、その悪い顔は。
何て思いながら、軽く頷いて斎藤君が歩いていくのを見送る。
……ん?
ちょっと待ってよ、私。
斎藤君、去り際になんて言った?
__『……ああ。
お前、覚えとけよ』
気のせいじゃないなら、こんな事言ってたよね?
『嫌な予感しかしない…‼︎』
それも、私斎藤君に頷いた気がするもん。
これってもう…何か企んでるって事ですよね?



