『近くはないな。
俺の家、この方面じゃないし』
『……ん?!』
あまりに普通に発せられた衝撃発言に、一瞬流そうとした脳が急停止する。
だって、今…斎藤君、この方向に家はないって言ったんだよ⁉︎
私、てっきり斎藤君もこの方向なんだと思ってたのに。
『斎藤君の家ってどこら辺なの?』
『俺、あの店の隣』
なんですと⁉︎
あの店って、湊さんのお店だよね?
湊さんのお店のお隣さんってことは…最早歩く意味もないってことですよね?
『斎藤君……何でわざわざ‼︎
家から遠ざかってるよ⁇
もう、遠ざかるレベルじゃないよ!』
ぼーっとしたり、話したりしながら結構歩いたよね?
今さっき通ってきたの道を進むと、斎藤君の道から遠ざかるのみ……。
『……別に気まぐれだから』



