鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!




『私、勘違いしてた』


そう言って立ち止まった私に合わせて、斎藤君も立ち止まる。


今だって、私の想像の中の斎藤君なら、そのまま歩いていきそうだもん。




『私ね、噂で聞いてた頃は、ずっと怖い人だと思ってた』


本当に。
それこそ、バイトで斎藤君と会うまでは。




『でも、違ったなーって』



丁寧に分かりやすく教えてくれた上に、こうして家まで送ってくれてる。




『斎藤君は、本当は冷酷王子なんかじゃなくて、優しい王子だね⁇』




そう言って微笑むと、驚いたように固まった斎藤君が、口元を押さえて肩を震わせる。





『斎藤君⁇』




『……ククッ』



うん?


今、斎藤君、笑ってなかった!?