斎藤くんの言葉の意味を理解するために、もう一度頭の中で繰り返す。
湊さんに撫でられたって言っても、一瞬だったよね?
考えて見るも、やっぱり何が言いたいのかまでは理解できなくて。
私の何がダメだったのかさえ、ここままじゃ分からずじまいだよ。
『斎藤くん』
『……ん?』
『私、嫌われる事したかな…?』
勇気を振り絞って出した声は、少し震えているようにも感じて。
斎藤くんの返事が怖くて、強く拳を握りしめた。
当然の言葉に、そのままフリーズしてしまう私。
だって…こんな事ってある?
湊さんに告白されたと思ったら…斎藤くんにまで。
何かのドッキリなんだよね?
そうじゃなきゃ、斎藤くんが私の事を好きって言うなんて、そんなはずない。
そんな素振り、一度もみせてくれなかったし。
さっき、いつも通りに話せるようになったばっかりだから。



