『……湊さん?』
『でも…風花のそばを離れるのは納得いかないから』
『…私は、湊さんの事お兄ちゃんと思ってます』
湊さんが切った言葉の続きを遮るように、私は微笑みながらそう言う。
湊さんと関わらないなんて、私が耐えられない。
いつも、小さい頃からお兄ちゃんだったから。
今更、居ないなんてそんな事私が無理。
『……ありがとう』
一瞬固まった湊さんは、私の言葉の意味を理解したかのように私の頭を撫でて返事を返す。
『湊さん。また、水族館連れて行ってくださいね?』
『んー…でも、不機嫌になる奴がいるしね?』
手を離した湊さんに向かって行った私の言葉に、湊さんがそう言って声を上げて笑う。
…不機嫌?
私と湊さんが水族館に行って、不機嫌になる人なんているの?
『風花、頑張ってね』
『……うん!』
考えてこんでいた私にかけられた言葉に、初めて敬語を外して返す。
その事に少し驚いたような、どこか嬉しそうな表情を浮かべた湊さんを見て、悪戯な笑みを浮かべた。
『じゃあ、表の方見てくるよ』
『はい、ここは任せてください!』
『あ、敬語外すんだ?
それと…仲直り、ちゃんとしなよ?』



