鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!






……お似合いだって、思ったでしょ。





『どうしても…笑える気がしなくて…っ』



だから今、みっちゃんの前で泣いている。


涙は止まることを知らないかのように流れていく。


知らなかった。
こんなに、恋というものが苦しいなんて。


漫画で見る世界は、キラキラで、必ず主人公は想いの人と結ばれて。


恋をしている時の楽しそうな姿に憧れてたけど。


……実際は、そんな簡単なものじゃない。


『私、ちょっと話してくるわ』


私の背中を撫でていた手を止めて、おもむろに、みっちゃんが立ち上がる。


…今、1人は嫌だ。


『……みっちゃん…ッ!』



声をかけて止めた私を振り返ったみっちゃんは、すぐ戻るとだけ言って走って中庭から遠ざかっていった。