side__fuka
たまたま、だった。
自動販売機似向かうために通りかかった空き教室の中で声が聞こえてきて、耳を澄ました。
『私、昴が好きなの!!』
『……飛鳥?』
でもそれも、一瞬で後悔に変わって。
聞かなければよかったなんて思いながら、その場から逃げるように無心で走った。
不意に流れた涙が、頬を伝って地面に落ちる。
『風花?』
出来るだけ遠くへ、遠くへ走っていた私を、誰かが呼び止めた。
それは、中嶋君と出て行ったみっちゃんで。
多分、戻った後教室にいなかった私を探しに来てくれたんだと思った。
『……みっちゃん…』
『風花ッ⁉︎ …保健室行くわよ』
泣いていた私を見たみっちゃんが、眉間にシワを寄せ、私の腕を引いてそう言った。
…怪我じゃないし、保健室行っても仕方ないよね?
『……大丈夫だよ!』



