『そうだよ? だって、私は昔から昴の事が好きだったのに。
最近現れた風花になんて、取られたくなかった』
昔からって…そんなの、気づきもしなかった。
飛鳥のことが好きだと思って居た時に気づかなかったなら、やっぱりあれは、憧れで。
そんな場違いな事を考えていたら。
突然風花の顔が思い浮かんできて、口角が緩んでいく。
『そんな顔、私といる時はしないかった』
さっきまでの威勢が嘘のように、弱々しくそう言った飛鳥を見て、口を開く。
『……飛鳥。
俺、真白が好きだから。
お前とは、付き合えない』
俺の言葉を聞いた飛鳥は、そのまま教室を飛び出して行った。
……これは、追いかけるべきだよな。
流石に1人にするわけにもいかない。
そう思って、走って行った飛鳥の後を追う。
『……飛鳥?』
勘を頼りに走って飛鳥を探すも、どこにも見当たらなくて。
目の前から歩いてきた人に話を聞こうと、駆け寄ろうとして足が止まった。
『……水門』
『斎藤。あんた、飛鳥探してるの?』
まるで、この質問の答え以外は聞かないというようにそう聞かれ、素直に頷く。



