深呼吸した後、何故か唇を固く噛み締めて目を閉じた飛鳥を黙って見つめる。
それからゆっくりと目を開けた飛鳥は、目に少しだけ涙をためていた。
『私、昴が好きなの!!』
口を開いた飛鳥の言葉に、驚いて思わず一瞬固まる。
『……飛鳥?』
目の前で、涙を浮かべながら訴えかけるようにそう言った飛鳥に、やっとの事でそう聞き返してした。
『だからっ、文化祭の日も昴に泣きついて、風花と回れないように離したのに!』
そう叫んだ飛鳥の言葉に、眉間に皺が寄っていくのを感じる。
今、回れないように離したって言ったよな…?
『…お前、嘘だったの?』
彼氏に振られた、なんて。
それは飛鳥が自分で考えた嘘だったってことだろ?
少なくとも、今の言葉じゃそう感じる。



