『……面倒くせえ』
『斎藤？ 聞こえてるわよ』
小さく呟いたはずの言葉を水門に拾われ、ギロッと強く睨まれる。
俺、よく水門に睨まれるんだけど。
何かした記憶もない。
『みっちゃん、睨みすぎっ！』
『仕方ないわよ。
斎藤のくせに、私から風花を取るんだもの』
にっこりと作り笑いを浮かべて真白にそう言った水門に、思わず目を見開く。
おいおい…まさか、俺が嫌われてるのってそんな理由かよ。
真白が鈍感でよかった…そうじゃなきゃ、確実にバレてたよな。今の言葉は。
『風花はわからないで良いの』
『ふーん…？ まぁ、良いや』
簡単に言いくるめられているあたり、水門は真白の扱い方を心得てるよな。
『斎藤…？ 私はあんたの敵だからね』
『……見るからにそうだろ』
そんな堂々と敵宣言されなくとも、薄々気づいてたから別にどうでも良い。
『南は協力しねえの？
じゃあ、俺も昴の敵になってやろうかな』
ニヤニヤと笑いながら俺を見てそう言った真翔を睨みつけると、舌を出して俺から顔を反らす。
……真翔、やっぱり許さねえ。
