side__subaru



『……はぁ…』




『それ何回目のため息だと思う?
正解は13回。

お前、何でそんなにやつれてるんだよ』



真翔の言葉に適当に返しながら、ため息の原因である2人へと視線を向ける。



俺の視線の先には、真白と葵がいて。


何を話しているのか、楽しそうに2人で笑っていた。




『文化祭、2人で回ったんだとよ』




そんな俺の視線に気づいた真翔の言葉に、文化祭の時の真白の表情が頭の中に浮かんできて。



言葉では表せないような感情で胸が締め付けられる。



『一言、連絡すれば良かったのに』



『……携帯、取られたんだよ』




あの日、真白の所に向かっていた俺に、いきなり飛鳥が後ろから抱きついて来た。



真白が待ってるからと引き剥がそうとした俺の手を掴んだ飛鳥の目には涙が溜まっていて。



思わず、話を聞くと言って飛鳥と2人で椅子に座った。



『……彼氏にふられちゃって…っ』



だから、一緒に回って欲しいと言って来た飛鳥を見て、一度は真白と約束してるからと断ったけど。



『お願い、昴…』



飛鳥のその言葉と表情に、無責任に頷いてしまった。