『諦めるなんて、言わないで。
辛いのは分かるけど、きっとチャンスはあるわ』



『でも……!』



言葉にして言いたくなんてないけど、私は実際斎藤君に捨てられた訳で。


捨てられた…なんて言葉が合うのかわからないけど。




『きっと、何か理由があったのよ。

それとも、斎藤が何も理由なしに約束を破る男に見えるのかしら?』




私を抱きしめたままそういったみっちゃんに、力無く首を横に振る。


そんな事思わないけど。


斎藤君が約束を破る人なんて思ってない、けど。


もしも、私との話が約束ですらなかったら、話は別だから。



『風花、諦めるのは早いんじゃない?

初恋…なんでしょう?』



『……うん』




『大丈夫よ。
ほら、顔上げて?』



みっちゃんの言葉に顔を上げると、ようやく力を緩めたみっちゃんが私を離す。




『私は応援してるわ。
相談にも乗るから』



『……うん』



『私に良い考えがあるの』




そういって口角を上げたみっちゃんは、今まで見た中で、一番不敵な笑みを浮かべていた。