『案外難しいな。卵割るの』
『こんなに粉砕して割れるのは、ある意味才能だよ? 斎藤君』
『嬉しくねえな』
まぁ、ほめてないしね。
卵の殻をさいばしで取り除き始めた斎藤君を見て、肩の力が抜ける。
…あれ? いつの間にか、緊張してた?
力なんて入れてたつもりなかったけどな?
『やっと元の真白だな。
お前、さっきガチガチだった』
取り終わったと言ってさいばしを机に置いた斎藤君が、私を見てニヤッと笑みを浮かべる。
ガチガチって…多分、じゃなくて絶対‼︎
それは斎藤君のせいだよ。
『ありがと』
『礼は次のバイトの時に貰う』
『お礼取るの!?』
思わずツッコんだ私に、当たり前とでも言いたげな表情を浮かべた斎藤君を見て、軽い溜息をもらす。
ダメだよ、私。
完全に斎藤君に乗せられてる!
『ケーキ2倍な』
『あ、それでいいんだね?』
お礼っていうから、てっきり高いご飯でも奢らされるかと思ったけど。
『女から金は取らねえよ』
『……ん?』



