『わざわざごめんな』
『んーん! じゃあ、作ってくるね』
ボウルに材料等々を入れて、家庭科調理室に走って向かう。
確か昨日、スポンジは大量生産…生産っていうか分かんないけど、沢山作ったから!
調理室の冷蔵庫に作り置きもあるはずだし。
とりあえず、生クリームと買い置きされたイチゴと…!
頭の中でグルグルと考えながら、できるだけ急いで生クリームを作る。
『……真白』
スポンジ、何処にあったかな⁇
……って!!!
『斎藤君、何でここに⁉︎』
調理台に頬杖をつきながら、いつの間にか隣にいた斎藤君に、思わず生クリームを作っていた手を止める。
『いつも通り、美味かった』
『あ…うん! ありがとう‼︎』
サラっていう所が斎藤君らしいけど。
その言葉1つで機嫌がよくなるなんて、絶対思ったもないだろうなー。
『手伝うか?』
『……斎藤君、作れるの?』
この前湊さん、みんなに一回厨房させたけど悲惨だったとか言ってたよね…?
イコールで、斎藤君料理できないってことだよね⁇
『卵ぐらい割れる……あ…』
卵を割ろうと力を入れ過ぎたのか何なのか。
見事にグシャッと音を立てて割れた卵は、粉々になったカラと共にボウルの中に入っていた。



