『うん?』
何で心の中を読んでるんですか、斎藤君!
『口に出てた』
『ウソッ!』
ニヤッと笑ってそう言った斎藤君に、慌てて口を抑える。
が…もう遅い。
心の中では勝ったと思ってたけど。
まだまだ斎藤君の方が上手だってことだよね?
『風花‼︎ ちょっと来てくれ!』
名前を呼ばれて振り返ると、祐希君が私に手を振っていて。
慌ててケーキの皿を斎藤君の机に置いて、祐希君のところに向かう。
向か…おうとした、かな?
何かに掴まれて身体がグラッと後ろに倒れるのを慌ててこらえて、後ろを振り返る。
『斎藤君⁇』
私の声に、斎藤君がバツが悪そうに私の服を掴んでいた手を離す。
『……ごめん、何でもない』
そう言ってケーキを食べ始めた斎藤君にクエスチョンマークが浮かびながらも、急いで祐希君の所に向かう。
『どうしたの?』
『ショートケーキ、明日所か今日の分も足りなさそうなんだよ』
私が声をかけると、ケーキが入っている冷蔵庫を開けた祐希君がこっちを見てそう言う。



