鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!




『ただいま戻りました〜』


『うおっ、時間ピッタリ‼︎
戻ってきたとこ悪いけど、指名入ってるから行って来い』


そう言った祐希君に返事しながら、手に持ったクッキーをポケットに突っ込む。




戻ってきた瞬間から仕事って…本物のメイドさんがいるなら、絶対大変だよね。



『ご注文お決まりですか?』



指定された席に向かうと、どっからどう見てもチャラ男の…葵とは違うタイプの男が2人座っていて。


私を見てニヤッと口角を上げた。


……何、この状況。



何かの少女漫画じゃないんだから、変な展開なんて来ないよね⁉︎




『おっ、可愛い子いるじゃん♪
この後暇? 俺と回ろうぜ?』



私の願いとは裏腹に、やっぱり聞き覚えのあるセリフをはいた男に溜息が漏れる。



面倒くさい‼︎

私には、こんな時に助けてくれる男子なんていないんだからね⁉︎



だから、やるなら他の…例えばみっちゃんとか飛鳥ちゃんとかにしてよ。



『午後は空いてないので…』




もし空いてても、みっちゃんと回る‼︎

絶対あんたらなんかと回るわけないっ!