葵と話しているうちに用意ができたのか、斎藤君と中嶋君が近寄ってくるのが視界に入った。
『葵〜、お前、俺らの客横取りするなよな?』
『客って…昴と真翔か』
チラッと2人に視線を向けて呟いた葵は、私の頭を撫でてニコッと笑う。
『待たな、風花。
明日はそっち行くから』
『あ、うん。
別にこなくて良いからね、葵』
『傷ついたけど? 俺の豆腐メンタル』
ふざけた葵が、そう言って胸を押さえる仕草をするのを見て、叩ける位置にあった頭を軽く叩く。
『葵のハートは豆腐じゃなくてダイヤモンド級だから。
何があっても大丈夫だよ』
少しだけ口角を上げながらそう言った私を見て見せつけるように溜息をついた葵が立ち上がる。
『風花、それ、何気に傷つくんだけど⁉︎』
『そう…⁇ てゆかっ、クッキーも来てるし、葵も仕事に戻って!』
折角斎藤君が近くにいるんだから、話しさせてよ…何てことは口が裂けても言わないけど。
『はいはい。じゃあな〜』
手をヒラヒラしながら戻っていった葵の後ろ姿を見て、思わずため息がこぼれる。
『大変そうね。
確か、合コンの時に連絡先を交換してた人でしょう⁇』



