不安を分け与える様な生活よりも、幸せを感じ合う生活を送りたいんだけどーー。

それなら誰にも許されなくていいと思う。
誰かに許されないといけない様な恋はしてないと胸を張れる。


(……でも、今の生活は違う…)


勢いだけで始めた恋は疲れきってる感じがする。
私が笑わないから厚哉も笑ってくれない。
心が満たされないものを感じて仕事へ行けば、その隙間を縫うようなセリフを決められてしまう。

白瀬さんが素敵な男性でなければ気にも留めなかったのかもしれないけど、イケメンの御曹司だと知った今、かなりグラついてる様な気がする。

これで体の触れ合いがあれば気持ちも惑わされずに済むと思う。
だけど、この頃の厚哉は私に触れないーー。


振り返ってみると、何もかもが終わってる様にも思えてくる。
厚哉は毎日、私と別れるキッカケを探してばかりいるんじゃないのか。
「別れたい」の一言が言えなくて、迷ってるんじゃないのか。

本当はもうとっくに別の女性を好きになっていて、私のことが重いから(逃げ出したい…)と思っているんじゃないのか……。


そう思うと身につまされてやれない。
考えたくなくて、自分からわざとその事については触れないようにしてきたけど。

いつまでそれを続ける?
父の言ったように、不毛な恋の結末が別れになって泣くのなら、先よりも今の方がいいんじゃないのか。