一瞬少し驚いた様には見えたけど、恨めしそうには思わなかった。


「やっぱり自分の彼女が他の男に呼び捨てられるのは嫌だよな」

「ただの略称なのに?」


残念ながら厚哉はそんな心の狭い人じゃありませんよ、と言い返し、ズズッと豚汁を啜る。


「信じてるんだ」

「そりゃ一応彼女ですし」


自慢にもならないとことを言って食事を済ませた。
お皿とお椀を洗い、手を洗ってるところへチズちゃんが出勤してきた。


「おはよございま〜す」


間延びした声を出しながらドアを開け、洗い場にいた私を見て驚く。


「明香さん!」

「おはよう。チズちゃん」


どうしたんですか?と聞かれ、小杉さんの代わりに早朝出勤をしていると答えた。


「へぇ〜大変。彼氏よくOKしてくれましたね」

「OKって言うか渋々。了解得る前に私が出ることを決めちゃったから」


実はちょっと怒ってた様にも見えたんだ…と小声で伝える。
あまり大きな声で話すと、白瀬さんに聞かれそうだと思ったから。


「そりゃあ彼氏にしてみたら複雑ですよ〜。やっと男と2人だけの早朝勤務から外されたのに」


チラッと窺うように白瀬さんを見て、その視線をこちらに向けて「ね?」と言う。


「でも、私か菅さんしか早朝勤務の流れがわかる人いないし」

「そうかもしれないけど、ちょっとあんまりだと思うな〜」


やっぱアレなのかな〜と、意味深な発言を述べるチズちゃん。