目線を後ろに走らされ、ゆっくりしてちゃいけないと促される。


「うん…」


ガッカリと肩を落として向きを変えると、確かに数人のお客さんが店に入ろうとしていた。


「頑張れよ」


後ろからした声に応じようと振り返ると、既に背中を向けて歩き始めている。



(厚哉…)


追いかけたくなる背中を見守って向き直った。

崩された日常の中に起きた偶然の名残りを胸にしたまま、過去に戻った様な1日が始まっていった。