それは許される恋…ですか

はっきりと印字された数字を見て、確かに日常が崩されたんだ…と思い知った。
たった2週間だけと思いながらも、気落ちした息を吐いてロッカーへと向かう。

白瀬さんは私が零した溜息の理由は聞かずに事務所の机上に荷物を置いた。

カシャン…と金属の擦れる音を立ててロッカーの扉を開ければ、コートの下に制服を身に付けてきた白瀬さんが、さっさと脇を擦り抜けようとしている。



「桃…」


通り抜け狭間に声をかけてくるから振り返った。
「ほら」という言葉と共に放り投げられた物を慌ててキャッチして受け取る。


「飲んでから来い」


短く指示をして逃げた。
私の掌には、ホカホカとあったかいカフェオレのボトルが残されている。


それはこの間発売されたばかりの新商品のやつだ。
新し物好きな私の性格を何処で知り得たのか知らないが、どうやら買ってきてくれたらしい。


きゅん…と胸が狭くなった。
自分は厚哉に何もしてこなかったのに、白瀬さんは私にこんなサプライズを用意してる。



(「見てる」って言葉だけじゃないんだ……)


形で現されると困る。
崩された日常の中に入り込まれていくようで嫌だ。



(でも…)


キュッと捻って開けたボトルの口から漂う白い湯気。
それごと飲み込んでカフェオレの甘さにホッとする。


(だからって靡かないよ…)


これは上司からのお礼だと思って飲む。
それ以上のことは何も考えたりはしない。