私が洗い物をしている間に厚哉はお風呂の準備を始める。
同棲をしだした頃は新婚みたいな気分もあって、よく一緒に入ってたけどーー。
「先に入るから」
満腹状態でも関係なくお風呂に入ろうとする厚哉。
それを止めればきっと、「親みたいだから止めろ」と言われるんだろうなと思う。
「うん。じゃあ洗い物は後でするね」
古いアパートだから都市ガスじゃない。
小さなガスボンベを使ってお湯を出すからお風呂と一緒にするとお湯の出が悪くなってしまう。
「じゃあ早めに上がる」
「いいよ。ゆっくり入って」
厚哉の思いやりが私には嫌なものにしか受け取れない。
こんな日常になってしまったことが何より一番悲しい。
「明日の献立考えてるから焦らないでいいよ」
厚哉が気遣うからこっちも気遣う。
これが幸せなのか不幸なのかもわからなくなった。
「明香…」
名前を呼ばれて振り返った。
厚哉の唇が微かに動こうとしたけど、「いや、いい」と閉められていく。
くるりと背中を向けてお風呂場へ行く。
もしかして、誘おうとしてくれたのかもしれないけど、さすがに食べて直ぐだと私は無理。
(だってお腹痛くなるもん)
同棲を始めた頃、食後直ぐに誘われて入ったらムカムカしてやれなかった。
湯当たりも重なって具合が悪くなってしまったこともあり、以降厚哉は食後のお風呂には誘わない。
朝から晩まで何処かすれ違ったままの生活。
これ以上崩したくもないのに、世の中はうまくいかないことばかりが続く。
同棲をしだした頃は新婚みたいな気分もあって、よく一緒に入ってたけどーー。
「先に入るから」
満腹状態でも関係なくお風呂に入ろうとする厚哉。
それを止めればきっと、「親みたいだから止めろ」と言われるんだろうなと思う。
「うん。じゃあ洗い物は後でするね」
古いアパートだから都市ガスじゃない。
小さなガスボンベを使ってお湯を出すからお風呂と一緒にするとお湯の出が悪くなってしまう。
「じゃあ早めに上がる」
「いいよ。ゆっくり入って」
厚哉の思いやりが私には嫌なものにしか受け取れない。
こんな日常になってしまったことが何より一番悲しい。
「明日の献立考えてるから焦らないでいいよ」
厚哉が気遣うからこっちも気遣う。
これが幸せなのか不幸なのかもわからなくなった。
「明香…」
名前を呼ばれて振り返った。
厚哉の唇が微かに動こうとしたけど、「いや、いい」と閉められていく。
くるりと背中を向けてお風呂場へ行く。
もしかして、誘おうとしてくれたのかもしれないけど、さすがに食べて直ぐだと私は無理。
(だってお腹痛くなるもん)
同棲を始めた頃、食後直ぐに誘われて入ったらムカムカしてやれなかった。
湯当たりも重なって具合が悪くなってしまったこともあり、以降厚哉は食後のお風呂には誘わない。
朝から晩まで何処かすれ違ったままの生活。
これ以上崩したくもないのに、世の中はうまくいかないことばかりが続く。