(自分のことも見ろとか言ったような……それからずっと私を見てた…って……)


「まさか」


プハッと笑ってしまった。
あのシゴキの鬼が私を?


「きっと気のせいよ。そうでなければ聞き間違い」


本気にしないに限る。
私の選択肢は厚哉ただ1人だけでいいんだ。


「他のなんて要らない」


厚哉だけがいい。
彼が私を引き受けると言ってくれたから、今の私があるんだもん。


「うん。そうだから」


だからこそ今夜は触れ合おうと思う。
白瀬さんの手の感触も言葉も吹き飛んでしまうくらいに、深く熱く触れ合うんだから。