話を戻す。

この日は日曜日であった。

「お天道さんに恵まれて、それはそれはまぁよろしおしたなぁ」

と、婚約者のつばさの生家でもある京都の窯元を切り回す母親の美樹が、晴れ女だというつばさの運気の強さをやんわりと京言葉につつんで、誇らかに言う。

が。

婿方の兼康家の者は誰一人それが、自慢だとは分からない。

美樹はそこにすぐ気づいたようで、

「こないなとこに嫁がして、傷もんで返された日にはどないしたもんやろか」

などと、こっそり夫の晴海に耳打ちした。

晴海は渋い顔をしたまま答えようとせず、右手にあったシャンパンのグラスをぐいっと空け、オードブルのテーブルへと立ったのであった。