「…ねぇ望月さん、」 耳元で聞こえる甘い声。 体制を崩した先は、王子様の腕の中。 「この子さ、望月さんに似てると思わない?」 「っ…!」 うっとりするような甘い声、それが伝えるであろう内容に、背筋がぞくりと反応した。 ……気付くのが、遅すぎた。 彼は『王子様』なんかじゃない。 王子様はこんな風に、楽しさが浮かぶ瞳で、警戒する私を見ない。