AM6:30 音駒第二中学校到着。


まだ閑散としている校門を通り、
普段女バレと男バレが使用している
第3体育館へ向かう。




____私が主将を務めているといっても、
それはこのまえからの話である。


今までチームを引っ張ってきた3年生は、
夏の大会をもって引退してしまった。





全国まで、あと一歩のところで。





____だから、自分の代で、私達の願いであり
先輩の願いを叶える。


全国に行く。行ってやるんだ。






靴紐を固く結び、気合いを入れる。

体育館の大きな扉へ静かに近づき、
両手でそれを横に動かした。






≪____ダンッ≫



早速耳に入ってきた、ボールが叩きつけられる音。甲高いスキール。


……先客がいる。



「お願いします」



その中で、私は体育館に向けて頭を下げる。


先客は私の存在に気づいたのか、駆け寄ってきた。





「雅おはよー!!」



「雅、早速俺にトス上げてくれ!」





無邪気な幼子のように、先客の2人は元気がいい。


女バレ副主将でありエース、奥谷楓と
男バレ主将であり、こちらもエースの五十嵐蒼大だ。


「……相変わらず早いわね。2人共。
蒼大、私の準備運動が終わってからトス上げる」


「えー。蒼大だけズルーイ!」


「楓にもちゃんと上げるから」


「わーい♪」


楓は笑顔で喜んで、2人はそれぞれ練習に戻る。


私は隅に荷物を置いて、朝日を受けキラキラ光る床の上を走り始めた。