ナンパボーイズ




その隣に私が腰をおろすと、雪は耳からイヤフォンを外し、いたずらな目で微笑んだ。

至近距離で目が合って、頬に熱が走った。

「『や』じゃないよ。今日は無理ってそっちから言ったくせに」

本当は嬉しいのに、ドキッとしたことを悟られたくなくて、つい憎まれ口をきいてしまった。

それでも雪は意に介さず、「そーだったけ?」と、パックの牛乳に口をつけた。

もう、敵わないなぁ。

雪の何気ないしぐさや声、笑った時にだけあらわれる笑窪、そのひとつひとつに心臓が反応してしまう。