廊下に出ると、人を避けながら小走りにある場所へ向かった。
それは、校舎のいちばん隅にある、美術室のとなりのせまい準備室だ。
ここには鍵が壊れいるから、生徒でも自由にはいれる。
私はそれを雪に教えてもらった。
はじめてふたりで準備室にきた時は、ばれたらどうしようってドキドキしたけど、今はすっかり慣れっこだ。
学校で雪と話すときはいつもここ。
その美術準備室の前につくと、辺りの廊下に誰もいないことを確かめ、年季のはいったドアを引いた。
「や」
なかは四畳半くらいのスペース。
所狭しと並べられたキャンパスの奥、いつもの位置に、雪は座ってた。

