女子たちはまさに蜂の巣をつついたように大騒ぎだ。人の色恋なんて、ほっときゃいいのに。
「行こ」
サイフを手にして、優香をうながす。でも彼女は、「うーん」と唸りながら腕を組んだ。
「おかしいなぁ、確か雪は2組の蜷川さんと付き合ってると思ってたのになぁ」
「え、そうなの。…………蜷川さんてあの成績のいい蜷川さん?」
雪が誰とつき合ったって別に興味はないけど、蜷川さんていう名前に引っ掛かった。
彼女は学年で唯一私より成績のいい女子。おまけに人当たりのいい美人と評判だ。
「うん。よく一緒にいるしね。仲良いみたいよ」
「ふーん。まあナンパボーイズだから、彼女が何人いたっておかしくないけどね」
「あははは。ゆーちゃん、それひど!」
「あ、とーたは別だよ。アイツは浮気とかしないもんね!」
優香に(かなり)気を使ってそう言ったのに、彼女はけろっと笑った。
「いいの、いいの別に。浮気なんかされたって。だって全然好きじゃないもん!」

