おでこがくっつきそうなくらい、すぐ目の前で雪は私をじっと見つめる。

宝石のように綺麗な瞳でそんなに覗きこまれたら、体の芯がとけてふにゃふにゃになりそうだ。

雪は、自分の何気ない仕草が、どれほど私を夢中にさせているか知らないんだ。

自覚してほしい。自分の魅力というものを。

「そ、そそそそんな見ないでよ」

「雨弓ちゃんはさ、オレ以外とこんな風にしたことある?」

「………え?」

「例えばふたりで会ったり、とか」

「な、…………ななななないよ‼ないないないないないよ!?」

「じゃあオレだけ?」

「ん……」

「ほんっとうに、オレだけ?」

「う、うん!雪だけ!」

照れながら叫ぶと、雪は両手をぎゅっと握って、良かった…………と、本当にほっとしたような微笑みを浮かべた。

雪は滅多に笑わない。
でもそのかわり、笑った顔は言葉にならないくらい、愛らしい。目の前で花火が咲いたみたいに。

眩しすぎて、目がつぶれたらどうしてくれるの…………。
雪のバカ………………。