「はーーーーい」
大湖さんが立ち上がって食堂を出ていった。しばらくすると、廊下から、玄関の会話が聞こえてきた。
「……にちは」
「……あ、いらっしゃっ…………いまね……出かけてるんだ……うんうん……」
(女の子の声だ。誰だろ?……しえり先輩?……なわけないか。八尋先輩いないんだし。
ということは、とーた先輩の彼女か、雪先輩の彼女。まさか虎先輩のセフレだったり?)
いろいろ想像していたら気になってきて、ちょうど食べ終わったし、廊下に顔を出してみた。
まっすぐ伸びた古い廊下の先にある玄関。そこに立ってたのは、私服の雨弓先輩だった。
栗色のコートに黒いタイツ。肩に大きなトートバックをかけている。
「バイト行ってるのは聞いてます。部屋で待ってる約束なんです」
「そっか。じゃあどーぞ」
雨弓先輩は戸を閉めると、傘を立ててブーツを脱いだ。ふたつに結った髪がすこし湿ってる。
「……あ、那由多くん。こんにちは」
ボクと目が会うと、かるく会釈した。

