ボクは活字が苦手で眠くなるから、新聞は読まない。ニュースはネットで見る。
「ね、すげ真面目な顔してるけど、なにか事件でも書いてあるの?」
「………え!?いや……那由多みたいな子どもが読んでもだな……」
ボクが大湖さんの読んでいた紙面を覗きこむと、鼻の下を伸ばしてデレッと笑った。
「……エロページか」
裸の巨乳美女が、際どいはポーズで、カメラに目線をおくってる写真が載っていた。
(どうりで目が真剣だったわけね。このエロオヤジ)
に、しても不思議だ。
大湖さんはスタイルも良くて整った顔の美形。それなりの格好すればモテそうなものなのに、まったく無頓着。
いつもこの難破荘にいて、掃除や修繕をしている。ほとんどさぼって寝てるけど。
あまりに女の気配がないから、最初ゲイなんじゃないか…って疑ったくらいだ。
「それより、先輩たちみんなどこ行ったのかなー?」
「雪はバイトだけど、虎ととーたはデートじゃない?」
大湖さんがそう言ったとき、玄関の方から壊れかけたチャイムが響い。