信じられなかった。こわくて振り返ることができない。
するととーたは、何を思ったのか、いきなり虎の胸ぐらを、殴りかかる勢いで掴んだ。
「触んなッ!殺すぞテメ!」
「………っ!?」
こんなにキレたとーたを見たのは初めて。みんながよくとーたを怖い怖いと言ってる意味が、いま初めて分かった。
「な、なんだよ!?何キレてんの!?」
「……と、とーた…っ!?や、やめ…っ」
虎が殺されるんじゃないかと、本気で思った。だから夢中でとーたの腕にしがみつく。
「…………っ!?」
このとき、とーたが初めて私を見て、怒り狂った目と視線が交差した。
その瞬間、なぜかとーたの体から力が抜けて、綺麗な二重瞼を大きく見張った。
「………お前…!?」
「…え!?」
こんな至近距離で、とーたと見つめあったのは……いや、それどころか、こんなに近づいたのも初めてで、
私は硬直してしまった。
とーたが何に驚いたのかも分からないまま。

