――― 私と天下の『ナンパボーイズ』北原雪人が親しくなったきっかけは、5ヶ月前に遡る。
暦は夏が迫る水無月だった。
それ以前はなんの接点もなく、親友の言葉どおり悪評轟く"彼ら"に興味はなかった。
しかし、ある出来事が私をかえた――
ある日、学校で読みかけの文庫をなくしてしまったのだ。
そしてすっかり諦めたころ、信じられないことが起こったんだ。
『三浦雨弓』
あれは雨の月曜日。
登校すると、下駄箱に北原雪人が立っていて、通りすぎるときに私のフルネームをはっきり呼んだ。なんの面識もないのに。
このときの私の驚きはとても言葉にできない。
ハッとして振り返ると、雪は耳からイヤフォンを外しながら、
『これ』

