でも勢いよく振り上げた右手は、軽く虎に止められた。 「そんな緊張しなくてもいいよ、恥ずかしいなら目ぇ瞑ってな?」 「……!?違っ」 違う‼と叫ぶ間もなく、再びキスで口を塞がれてしまった。 「……優香の嫌なこと全部……オレが忘れさせてやる……」 「……ッ……!」 そうしてキスをしていると、また魔法にかかりそうになる。いっそ目を瞑って全部忘れたい。 けれど、背後で砂利を踏みしめる音がして、私は幻想から現実にもどされた。