「ばかなこと言わないでよ」

「なんで?オレじゃ不満かよ?」

優香の髪を撫でると、ビクッとしてコイツの目が泳いだ。

「失恋から立ち直る一番の方法はね、次の恋をすることだからね」

肩に手をまわす。

「そんな恋愛の達人みたいなこと言ってるけど、あんたただのアニマルじゃない!」

内心けっこう動揺してるくせに、それでも強がる優香。もっと素直に楽に生きればいいのにと思う。

オレはそっと優香を腕のなかに、抱きよせた。

「ほんと言うとね、すこし優香の気持ち分かるんだよね。オレだって、奪えるもんなら奪いてぇよ……って思ったときある。どんな汚いことをしても」

「…え?」

「だからさ、今の優香ほっとけないの。いいじゃん?オレに甘えればいいじゃん?」

そういって優香の顎をつかみ、首をひねってキスをしようと顔を近づけた…………。