(………虎?……ってあの虎くん!?)
話したことはないけど、モテモテでいつも女子を連れてる碧川虎太朗。この学校で知らない人はいない有名人。
そして難破荘のに住人。つまりナンパボーイズと呼ばれるひとり。
("あの虎くん"ならあり得るかも。でも、どうやって美術室入ったんだろ、あっちは鍵がかかってるのに…)
そんなことを考えてると、雪がまた耳元で囁いた。
「分かった、キスは我慢するから10秒だけ抱きしめさせて?ね?それならいいでしょ?」
「…っ」
雪は隣の美術室には興味ないみたい。
私の首に両腕をまわして、綺麗な瞳でじっと見つける。そんな目をされたら、嫌なんて言えるはずがない。
ううん、ほんとは嬉しい。
私はそっと優しく雪に身をまかせた。