「…昔の話。あたしはただ普通にしていたいだけなのにね」


「でも喧嘩は止められない、か。可哀想な道化師だな」


「あんたらがあたしに突っかからなきゃいいだけの事よ」


「おい東城…。このエース様の事も忘れてねぇよな?」


3人相手…雑魚ならともかく幹部が相手、か。


「…!」


あたしは今いる壁側の位置から避ける。


シュウゥゥゥ……


壁に穴が空いた。


「…杉宮 夏也」


「俺の蹴りを避けるなんてな。流石だな」


「ちょっと夏也…」


「目的が違うし、俺達タイマン張りに来たわけじゃないでしょ」


「うるせぇ、こいつは俺が倒す。謙也、蒼夜…手、出すなよ」


相手は、どうやら杉宮 夏也らしい。


「あんた、あたしに勝てるの?」


「…さぁな。ま、何にしろ…そのムカつくメガネは外せたわけだしな」


…あぁ、対して視界は変わってないから気が付かなかったけど。確かにメガネ…潰されてる。


「その伊達メガネ結構お気に入りだったのに」


「ちっ、度がねぇのかよ」


長い切れ目はあたしをまっすぐ捉え、今にも殴りかかりそうな雰囲気だ。


「あたしはこの場から逃れるために戦う」


「俺はてめぇを連れて行くために戦う」


そして拳を握り締めた。