こんなに賑わったご飯を食べるのは何時ぶりだろうか。
自分のお弁当を食べようと思っておかずに箸を伸ばすと横から堂々と取られ、代わりにお返しをもらい……。
どこぞの小学生か、と思ったけどこれもこれで面白い、かも。
天森さんも楽しそうで、様子を見に来た黒坂も安堵の笑みをこぼしていた。
お昼も過ぎ、時間は流れ、放課後のチャイムが鳴る。鞄を持って帰ろうとすると
「瑞希!一緒に帰ろう!」
天森さんが教室の入口から手招きする。
最近入った新人のあたしに剣龍のクイーンが大きな声で呼ぶものだから、教室内の生徒はザワつく。
「え、二人共今日は来れないの?」
謙也があたし達に聞く。
来れない、と言うのは剣龍のアジトの事だろう。
「あたしはね。天森さんは…」
「私は瑞希と行ってみたい所があったんだー!ね、近くの駅前にクレープ屋さんできたらしいんだけど、瑞希も行こうよ!」
「でもあたし、今日は家の買い物当番で…」
「じゃあ、そのついでに行こうよ!私も荷物持つの手伝うから、ね?」
こんなキラキラした目であたしを見つめられてもな…。
「…行ってこいよ」
「夏也…!」
「人生初の女友達だからって、ハメ外しすぎるなよ」
「うん!それじゃあまた明日ね!夏也、謙也!大和と蓮と蒼夜にヨロシク!」
すると、天森さんは、あたしの手を掴んで走り出した。
