side佐伯
俺に向けられる誰かの感情に俺は人一倍敏感なんだと思う。
だから誰の感情も俺の手のひらの上だし、意のままだ。
少しイジれば簡単に操られる想いになんて確証も何もない。
あの会長だって簡単に俺に落ちたけど、いつその想いが消えてなくなってしまうかもわからないし、それにその気になればきっとその想いを俺が消してしまうことだってできる。
それだけ人の想いは信用ならないし、信じられるものではない。
『何でも思い通りになるなんて思わないでよね』
舞台袖で王子役になってこの役の一番の難所であり、見せ場の殺陣のシーンを難なくこなす会長を見つめながら会長の冷たい言葉を思い出す。



