元々姉御肌なジェミロ。
その分苦労人ではあるが、それを苦労だと思わないのが彼女の凄いところだ。

「じゃ、お言葉に甘えて。
行こう、ベル」

レイはベルの手を引いて買い物へ。
メロゥは仕事探しに出て行った。
一人店に残ったジェミロは、魚に下味をつけながら一人呟く。

「同居人が一気に増えたな。
あたしはベルの姉、メロゥは兄、レイは婚約者、か。
ベルは皆に愛されているな」

妹の姉、兄、婚約者、か。
こりゃあ、同居人と言うか家族だな。
くすくす笑いながら、ジェミロは手を洗って自分も出かける支度を始めた。
今日は家族が増えた。
それに、遅いけれども妹の成人パーティーだ。

腕によりをかけて料理を作ろう。
まずは材料を買おう。
あと、酒も多めに……。
あ、ベルが呑めそうな優しいものも探さないと。

軽やかな足取りで店を後にするジェミロは、楽しい気分でいっぱいだ。