青年が少女に近づかないように片手で押しのけながら二人の間に立つ、少女の姉を名乗る女性は、もう片方の空いた手で背後の酒場を指す。

なるほど確かに、酒と食事のイラストが描かれた看板がかかった店がある。

「え、飲み屋の看板娘……?」
美しく大事な姫が、飲み屋の看板娘……?」

そんなはずはない、清らかな姫様が、そんな場所で働くはずがないっ!
この女、姫を騙して働かせているのかっ?!

青年は混乱した。

「ダメです、姫!
姫が飲み屋で仕事なんて!」

「姫ぇ?!」

呆気にとられる酒場の女店主を、青年はキッと睨みつける。

「姫に働かせるなんて!
しかもそれが酒場だなんて、言語道断だっ!!」