「あ、おねぇ!
よかったぁ、ちょっと困ってたの……」

少女が彼女を姉と呼び、青年は首をかしげた。
ベル姫様にお姉様はいないはずだ。
この女は、誰だ、と。

「男のくせに、なに泣いてんだ!
てか、お前誰だ!
大事な妹に何しようとしたんだ!」

矢継ぎ早に、まくし立てられる。
それには青年もむっとして反論した。

「涙を流さずにはいられない感動の再会が、貴女には分からないのですかっ?!

そちらのお方は私の大事な方ですっ!
それに、姉などいないはずっ!

貴女こそ、どなたですか?1」

「あたしはジェミロだ! そこの飲み屋の女店主だ!
そっちの娘は可愛くて大事な妹で、飲み屋の看板娘だ!」