「姫……、探しました、すっごく探したんですよ?
逢えて、本当に良かった……」

青年は泣き出しそうな表情を浮かべながら、ますますぎゅっと少女を抱きしめた。

少女は、彼の腕の中で戸惑っていた。
どうして知らない人に突然抱きしめられているのだろう、と。

恥ずかしいし、離してほしい……。
必死で会いたい人を探していたのかな?
それはわたしではないんだけれど
な……。

「姫、俺の大事なベル姫様……!」

少女がどうしよう、と青年の腕の中でおたおたしていたとき、少女の肩に温かな滴が一粒、ぽとりと落ちた。

青年は泣きそうどころか、本当に泣いてしまった。
悪いことをしたわけではないのに、申し訳ない気持ちになる。

「あの……、わたし、あなたの探している人では……」

少女がすまなそうに顔を上げて言葉を発した時だった。

「こらっ! 妹に何やってんだ!
しかも道のど真ん中でっ!」

二人は、一人の女の手によって簡単に剥がされた。