「先ほど、姫を連れ出した男は厚い信頼を得ていた、と言ったな。
俺も、その男なら、と、安心しきっていたんだ。
男と出かける姫を、手を振って見送った……。

それが、かの城で姫をお見かけした最後だった。
今日、再会するまでは……」

言って、切なそうな、泣き出しそうな顔でベルを見つめる。
ご無事で良かった……本当に……。
青年は、肩を震わせながら小さく呟いた。

それから暫くの沈黙のあと、意を決したように動き出した。
突然立ち上がったかと思えば椅子に腰掛けるベルの横で床に片膝を着き、頭を垂れる。

「姫、誠に申し訳ございませんでした!
あれが私の一生の不覚です!
私の命なんかではなんの償いにもなりませんが、
姫の気が済むのであれば、今すぐ自らの命を絶ったって構いはしません!
どうぞ、姫のお好きなように私を罰して下さい」