おごりだ、と、青年の前に置いたグラスに酒を次ぎ、ジェミロは自分のグラスにも同じものを次ぐ。
ベルはその隣で、はちみつレモン水を飲んで喉を潤している。

「では、始めようか。
女、姫が私と離れて以来、どうお過ごしになられていらしゃったのか。
なぜ今、お前を姉と慕い、一緒にこんな店で働いておられるのか。
記憶がないのか……。
全て、話してもらおう」

一口酒を含み、それから足を組んでジェミロを見据える青年。
その態度に、ジェミロは顔をしかめた。

「いい加減その偉そうだ態度、やめてもらえないか?
あたしは女、なんて名前じゃない。ジェミロだ。
それがこれから話し合おうって姿勢だとは思えねぇな。

それにレイ、お前にも色々聞きたいことがある。
まずは、ベルに何があったのか、どうしてお前と離れていたのか、それから話せ」