「もしかして、あいつは本当にお前の知り合いかも知れない。
ベルがショックで忘れてしまった過去に繋がっていたら?
辛くないって、言い切れるか?
聞かない方が良いことも、あるかも知れないんだぞ?」

「……大丈夫だよ、おねぇと一緒なら……。
 わたし、ちゃんと聞くよ」

お願い、ね?
わたしのためにも、おねぇの安全のためにも……。
懸命に訴えるベルに、ジェミロは折れた。

「わかった、ベルがそこまで言うなら一緒にあいつの話しを聞こう。
よしお前、こっちへこい」

カウンターを出たジェミロが、氷の入ったグラス2つと酒のボトルを持ち、テーブル席に着いた。
ベルははちみつレモン水の入ったポットとグラスを一つトレイにのせ、ジェミロの後に続く。

青年はカウンター席を立ち、
「やっとか……」
と呟いた。