「……そうだね、行こうか、レイ」

「うんまぁ行くけど、なんか気に入らない」

メロゥの後に続こうと立ち上がったベルに、まだソファに腰をかけたままでベルを見上げるレイ。

「? 気に入らないって何が?」

「メロゥにいいとこ持ってかれた気がする。
あいつめ。ベルをずっと慰めてたのは俺なのに。レモン水1本であっさりベルの機嫌を直した」

むぅっと頬を膨らませて口を尖らせる彼は、いつものクールな雰囲気からはかけ離れていた。

そんなレイにベルはふふっと笑う。

「レイったら、子供みたい。メロゥはお兄ちゃんみたいな存在なんだからね。
ヤキモチしないの」

同じ年齢なのに、自分より大人っぽいと思っていたレイがすねている。
ベルは珍しいレイの様子に、またひとつレイを知ることが出来た、と心の中で喜んだ。